林業

【 緑の雇用 (FW3年目)体験談】森林整備の体系、路網開設、木材の性質

こんにちは、イチです。

今回は9月に行われた「緑の雇用(新規林業従事者の研修システム。3年間)」について記事にします。

貴重な機会なので記事にしてしっかり残しておこうと、そういうわけですね

この9月で終わりではなく、10月・11月にも研修があるので、そちらも記事にする予定です!

ちなみに前回までの緑の雇用に関する記事(2つ)はこちら。

この記事はこんな方にオススメ

緑の雇用ってどんな感じか知りたい

この記事はこんな人が書いています】
 ・2021年4月、京都で高校教員→岡山で林業(植林)

 ・Webライターとして記事複数
 ・森林インストラクター資格保有
 ・アレルギー多め(スギ・ヒノキ・ハチ)

これまでの緑の雇用の記事でも書かせていただいた通り、林業事業者=FW(フォレストワーカー)と表現していきますのでご了承ください。

別に私がかっこつけてるわけじゃなくて、そういう呼称が行政レベルで行われているので…

研修(実技)の最中にスマホで写真を撮るのも難しく…基本は文章での記事になります!

FW3年目「 緑の雇用 スケジュール」一覧(2023年度)

7月11日(火) 資格・学科伐木等機械・簡易架線集材装置 特別教育
7月12日(水)資格・実技伐木等機械 特別教育
7月13日(木)資格・実技簡易架線集材装置 特別教育
8月7日(月)講義素材生産での労働災害
現場作業の総合力
8月8日(火)実習安全な掛かり木処理作業1
8月9日(水)実習安全な掛かり木処理作業2
9月5日(火)講義森林整備の省力化・低コスト化
9月6日(水)
講義・実習
路網の種類と目的
安全な路網開設・維持作業1
9月7日(木)実習安全な路網開設・維持作業2
9月8日(金)講義木材の特性
森林施業の体系
10月18日(水)
講義・実習
効率的な高性能林業機械の使い方1
10月19日(木)実習効率的な高性能林業機械の使い方2
10月20日(金)実習効率的な高性能林業機械の使い方3
高性能林業機械操作の検証
11月27日(月)講義事業所経営の展望
安全な素材生産作業の確認
機械類の管理手法
11月28日(火)実習車両系機械のメンテナンス
11月29日(水)実習架線系機械のメンテナンス
11月30日(木)講義木材流通と木材利用

9月5日(火)講義 森林施業の体系、路網の種類と目的等

初日は講義です。

午前中は「森林施業の体系」「森林整備の省力化・低コスト化作業」の2つでした。

日本の森林の状況、在住している岡山県の状況、近年の林業・木材需要の推移などを最初に聞きました

結論としては以下の6点が示されました。

①再造林の推進、齢級を平準化させる
②新たな木材の需要確保
③森林所有者へ利益還元が必要
④林業経営者、林業従事者の育成
⑤安全な労働環境の整備
⑥獣害防除

話を聞けば聞くほど林業業界の難しさ、みたいなものを感じます。

1人の森林組合従業員ができることっていうのはほとんど無いな、という悲しさも抱きます…。

それと、本の一部を紹介していただきました。

農文協から出版された、『小さい林業で稼ぐコツ』(2017)というもの。

1955年はヒノキ丸太1㎡で大卒新人公務員を21日雇えたのに、2010年だと2日だけだとありました。

木材価格の低下が著しいですね…

続いて森林の多面的機能、機能に応じた目標林型と配置、造林や間伐、主伐の省力化などについても伺いました。

3年生ということもあって、これまで教えていただいたことの総復習みたいな感じでしたね。

そうしたら、今後収益性の向上を行い、投入する補助金の額は減らしつつ、従業員の賃金を約1.5倍にする…みたいな棒グラフが出てきたんですよ。

ほんまかいな

絵に描いた餅のような気がしますが…

ちなみに木材価格は現状とほぼ同じ、で計算されていました。

9月6日(水)講義・実習 安全な路網開設・維持作業

最初に1時間ほど作業道についての講義がありました。

本当に基本的なもので、作業道の基になっている法律についてや名称、基礎知識などでした。

普段使用している作業道にある【排水設備】について聞いたときは既視感がすごかったですね

作業道はかなりこの近年でルールが変わっているらしく、少し前のやり方だと補助金が出ない場合もあるそう。

より長持ちする道、より山を痛めない道、というものを作るように方針転換しているそうなので、最新のことを学ぶと様々なメリットがあるなと感じました。

そのあとは実技です。

午前中は作業道の見学。

研修現場は、歴代の研修生が作業道を作っているんですね。

毎年少しずつ作業道を作っているイメージです。

だからこれがうまいことに、かつての規格で作られた道と、現在の規格で作られた道とを比較しやすくなっているんですね!

かつての道は短く、急で、目的物まで一直線な感じ。

フォワーダで搬出を想定しているような作り方です

一方、現在の作業道は長く、なだらかで、排水意識も見られるもの。

トラック搬出できそうな道でした

なるほどー! と思って午後からは重機に乗り込みます。

といっても私の班は「ブレーカー」でしたが…。

ブレーカーというのはこれ。

参考HP https://goods-online-japan.hitachi-kenki.com/item-detail/1294615

先端の棒が上下に動き、それで岩を掘削するものです。

うまいぐあいに、岩だらけの作業道もあったんですよね

まぁでも半日だと順番に少しずつ岩を砕くぐらいが関の山でしたが…

9月7日(木)実習 安全な路網開設・維持作業

次の日の午前中も「ブレーカー」を使用しました。

ただ今回は【全員】で。

前日に私たちを担当してくださった方よりもブレーカーにお詳しい方がおられたので…

そこで教えていただいたコツは以下のような感じ。

①岩に対して直角に当てる(いろいろな方向では当てない)
②エンジンの出力は中程度
③空撃ち禁止
④岩を割るためにはしっかり岩が割れるためのスペースを用意する
⑤先端がとがっていない場合は研ぐ必要もある
⑥ガンガン打ち込むことになるため、普通の重機よりもオイルを頻繁にオイルを注入する
⑦土が多ければバックホウ(ショベルカー)との2台体制で進める場合もある

などなど。

めちゃくちゃ濃い時間でした。

もちろんバックホウも使いましたよ!笑

午後からはバックホウ。

…しかし私の班は、日常業務で重機に乗らない人ばかりが集まっていたので、基本的な動作の確認、といったところでした。

土の動かし方、みたいなことの確認と練習でしたね

それでもなかなか難しく、日常重機を使用している方は手足のように使っていてすげぇな…と思いました。

ちなみに、そこで言われたことで…。

作業道といえば【ザウルス】という重機なんですね。

「掴む」ことができるので、それを使う人が多い。

しかし1日のリース代は、ザウルスだとバックホウ(通常ショベルカー)の2倍かかってしまう。

しかも土をすくえる量が多いので、土を動かすことを考えるとバックホウの方が良いという。

だから昔は【バックホウ】で道づくりをする方が多かったらしい。

その後の実演で、つめで木をひっくり返したり排土板で木を引っ張ったりしながら搬出していて、重機を使いこなしたら想像以上の動きができるんだな…と驚きました

9月8日(金)視察・講義 森林整備の省力化、低コスト化、木材の特性

最終日の午前は現場視察でした。

切った丸太をつかんだ際に、最も効率の良いサイズにカッティングしてくれるシステムを搭載した、ハーベスタを見に行きました。

市場と連動している、とのこと

例えば同じ木でも、下の方から4m、3m、3mと丸太にする方が値段が高くなるのか、3m、4m、3mとする方が値段が高くなるのか分からないですよね。

紹介していただいたシステムの特徴は、「一本の木の価値を最大化する」ということ。

曲がっている部分があったとしても、それを加味しつつ判断してくれるとのことでした。

10本ほど切ったらその山の傾向をつかんでくれるらしく、対応能力も高い。

もちろん値段も高い

午後からは真庭の木材加工研究室へ戻り、座学。

木材の特性や品質の決定要素、乾燥方法について学びました。

しかし木はやはり難しいですね…。

最も難しいのは品質の均一化。

生物由来の素材ですから仕方ないんですが、一本一本で差がありすぎます。

いろんな工夫をして木材の活用を図ることになるため、「最初から別の素材使えばいいやん…」となるのも当然な気がします。

林業に携わるものとしては良くない発言かもしれませんが、冷静に考えればそうなってしまうように思います。

乾燥などについては事前知識がある程度はありました。

国産材はなぜ売れなかったのか

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この本を読んでいたからですね。

X(旧:Twitter)で知ったものです。

歴史も含めて学べてめちゃくちゃおもしろいので、関係者は必読じゃないかなぁと思っている本。

まとめ

以上、9月の研修についてまとめました!

こちらが学ぶ姿勢を持てば全然変わるのが研修だなとつくづく思います。

貴重な機会、今後も生かしていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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