こんにちは、イチです。
今日は「山仕事に優しさは不要」というテーマで記事を書いていきます。
字面を見ると少しアレですが、読んでいただければよく分かっていただけると思います
実際職場は優しい人ばかりなんですけどね(マジで)
「優しさは不要」発言までの流れ
切り捨て間伐中の出来事でした。
そこそこ広い山で、複数班が切り捨て間伐に入っていたんです。
朝に事務所集合して、そこでそれぞれの班の担当エリアを決めました。
それぞれの班が、かなり離れた担当エリアでした。
木を伐るのは危険性が極めて高いため、他の人と「樹高の2倍」の距離を取る必要があるんですよ
だから離れた担当エリアにするんですね。
当然、現場近くに停める車も全然違う場所になります。
しかし、実際に山に入ってみると想定と異なる場合が良くあります
詳細な説明は省きますが、「他の班の担当になっているものの、明らかに私たちの班が処理した方が良いエリア」があったんですね。
他の班からはかなり奥まっていて、残りの作業時間的にも終わらない可能性が高い。
終わらなければ、その班が翌日重たい荷物を持って奥まで歩いて作業をしなければならない。
一方で、私たちの班からは目と鼻の先。
残りの時間で確実に作業を終えることができるし、他の班からしたらありがたいんじゃないか。
午後からはあのエリアを伐ってしまえばいいのかな…?
私はそう思ったんです。
そして昼休みにベテランの1人に相談したところ、
山仕事に優しさは不要じゃ
という発言に繋がったんですね。
私としてみれば
は? え? なんで?
という感じでしたが…
発言の意図
戸惑う私に、班長が笑いながら翻訳してくれました。
それを簡潔にすると…
①事前に決めたとおりに伐らないと危ない。「このエリアにいるのは自分たちの班だけ」という前提を崩してしまう
②伐った範囲を他の班が見ると「あれ、伐ってる。じゃあこの先の遠いとこも伐ってるかな?」という感じになる可能性があり、作業範囲の中で手がつけられていない場所が発生するかもしれない
聞いた時はなるほどー‼となりましたね。
確かに事前に決めたとおりにしないとめちゃくちゃ危ない
他の班員がいない前提で木を伐りますからね。
もちろん確認はしますが、その前提の有無はめちゃくちゃ大きい。
処理されていない範囲が出るのも良くないですが、第一には安全面でしょう。
他の班のことを思って行う行為が、結果的にかえって危ないことになるんですね。
「気が利く」ってどういうこと?
褒め言葉で「気が利く」というものがあります。
ネット上の辞典であるWeblioでは「配慮が行き届いている。心遣いがある」とあります。
褒め言葉というか、プラスの意味を持つ言葉ですよね。
でもこれって、実は「価値観の共有」だったり「立場が同じ」だったりすることが大前提なんですよね
今までは「気を利かせること」=「良いこと」と単純に思っていました。
それは前述した条件をクリアしていたからなんですよね。
実は「気を利かせること」というのは「独断、独善」と近い部分があるということ。
日常生活であれば「ごめんね!」「勘違いしてた!」で済みますが、こと林業においてはそれだけでは終わらない可能性があります。
ただでさえ事故率が高い林業、何よりも優先されるべきは「安全」です。
物理的に距離を取るということは、相手と意思疎通がしにくいということですから、勝手にやってはいけないことも多いわけです。
まとめ
以上、林業における「優しさは不要」発言について色々と考えたことを書いてみました。
もちろん大変な仕事ですから、お互いを思いやることは必要です。
危なくない範囲で、気を利かせている場面ももちろんあります。
「嫌な仕事だな…」とか、どうかそんな風に思わないでいただければ非常にありがたいです。笑
なんにせよ、
林業って日常とかけ離れている部分がたくさんあるなぁ…
と実感した、そんな発言でした。