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【アナフィラキシーショック体験談】症状、対策は? 時間との勝負!

2023年8月5日

こんにちは、イチです。

夏も本格化してきましたね。

ツイッターで何度かつぶやいていますのですでにご存じかも知れませんが、私は重度のハチアレルギー持ちです。

2022年には入院経験も。

自分自身の経験ではありますが、しっかりまとめておくと同時に、経験者の体験が皆さんのお役に立てば、という思いで記事にします。

対策にも言及。

ぜひ参考にしていただいて、安全作業をお願いします!

なお、一般的なことについては様々な媒体で詳しいため、個人的な経験や考えに留まります。

ご承知おきください。

自分の症状

冒頭で私のつぶやきを引用しましたが、おおよその症状はそんな感じでした。

時系列で整理すると以下のような感じです。

【ハチ刺され発生】

〇3分後(計3分)

 クルマに到着。先輩が余計なことをしたせいで下山中に受傷。近くて良かった。

 そこからポイズンリムーバーと車内にあった水のタンクで傷口を洗浄。毒をできるだけ流す。

〇3分後(計6分)

 唇にピリピリとした違和感がある。

 あとから知ったところによると「神経症状」と呼ばれるもの。

 この間も毒抜きは行っている。

〇2分後(計8分)

 内腿や肘の内側など、柔らかい皮膚がかゆくなる。

 じんましんが発生していたように思われる。

〇1分後(計9分)

 かゆいなーと思って書いていると先輩から「めちゃくちゃ顔赤いぞ」と一言。

 いわゆる顔面紅潮

 この段階で病院へ向かう。

〇5分後(計14分)

 病院到着。近くて良かった。

 「え、保険証が無いと初診の方はちょっと…」と診察を拒まれかける。

 「こんなにしんどいのによう…! くっそ…!」と思いながら、焦りつつ保険証を渡す。

〇3分後(計17分)

 診察室でアドレナリン注射。

 若干鼻に違和感。片方の鼻が詰まる感じ。

 いろんな人がバタバタ動いているのが分かる。

 「あれ…これもしかしてオオゴトですか? やばいですか?」と確認する。

 「ええ、オオゴトですよ」と若い女医さんに諭される。

アナフィラキシーショックで発生から死亡までは15分程度。
毒抜きなどがうまくできていたのかもしれない。

〇5~10分後(計22~27分)

 救急車到着。

 班長の付き添いで総合病院へ。

 なお、この間も血圧は低下し続けていた模様。

 退院後の班長曰く、「注射したのに血圧下がり続けてて、めっちゃ怖かったです。言えなかったです」とのこと。

〇25分後(計47~52分後)

 総合病院到着。

 この時間になると鼻のつまりは改善。

 ただ全身にじんましんが。

 通常のじんましんは点々という感じだが、もうユーラシア大陸くらいのでかさになってた。

 胸部から腹部までに、めちゃくちゃでかいじんましんがある感じ。

〇その後

妻が病院に到着。

じんましんの写真を撮られる。

平静を装っていたがかなり動揺していたそう。

妻と簡単な会話をする。

その後妻は、病院に駆け付けた余計なことをした先輩・上司との3人で立ち話をしたそう。

先輩、「診療所についたとき、自分がしんどいのに『コーラでいいですよ』とか優しい言葉をかけてくれて…旦那さんに何かあったら、ぼくは…!」感じでめちゃくちゃ泣く。

「コーラでいいですよ」とか先輩に言えるの、これはオシャレポイント高いなと思いました(自画自賛)

上司、「でも言い方がキツイときもあるんですけどね」と余計な一言。

妻、「言い方がキツイかも知れませんが、うちの旦那は正しいことを言ってますから‼」とブチ切れかけたらしい(さすがに黙ってた)。

その話を聞いた時は、さすがに上司の神経を疑いました。

一泊二日で入院し、退院。

退院時にエピペンを処方していただく。

後日再び病院を訪れ、アナフィラキシーショックの診断書を書いてもらい、事務所に提出しました。

対策

現在のハチ対策は以下の通りです。

ハチの行動分析

敵を知り、己を知れば…というやつですね

いろいろとハチについて調べ、それに基づいて対策を心がけるようにしました。

時期

ハチは6~7月頃から巣作りを始めます。

このときは女王バチ一匹だけで巣をつくり、子を育てます。

働きバチが育ってくると女王は産卵に集中します。

8月中旬頃には巣が巨大化、構成するハチの数も最大になります。

巣を守る防衛本能が高まってきます。

9月頃に新女王バチや雄バチが誕生。

巣としては重要な時期ですが、どんどん食料が減ってくる時期でもあります。

防衛本能の高まりと攻撃本能の高まりがみられ、最も危険な時期に。

その時期は10月終わり頃まで続きます。

11月なってもまだ働きバチは生きているので危険性はありますが、ハチの数は減少していきます。

これを知っておくだけで気の持ちようが大きく変わりましたね

行動

巣に近づかれるとまず警戒飛行を行います。

それでも敵が近づいてきた場合に続いてアゴを「カチカチ」と鳴らす威嚇。

最後に毒針で相手を攻撃する、という流れになります。

刈払機の音で威嚇音が聞こえないので、警戒飛行の段階で気付きたいところ

周囲にかなり目をやるようになりました。

ちなみにですが、巣にこっそり近づくと50㎝くらいになっても何もしてこないようです。

大きく揺れたりすると2メートルくらいから刺してきます。

そのほか黒などの濃い色を狙ったり、整髪料などの香りにもよってくるとか。

巣の場所

オオスズメバチは土の中につくることが多く、かなり発見しにくいです。

ですがハチ自体がめちゃくちゃでかいので気付きやすいですね

キイロスズメバチは木を打ち捨ててあるゴミの中などに巣をつくっていることが多い気がします。

こちらの方が危なくて、しれっと手を伸ばしてゴミの上の草を刈ったり、ずぼっとゴミを踏み抜いてしまったりしたときにやられます。

木が積んであるところには注意をするようにしています。

針の長さ

スズメバチの針の長さはだいたい6ミリくらいが最大だそうです。

だからそれより分厚いものを身に付けていれば絶対に刺されない(ハズ)と思い、以下のような装備を整えています。

空調服

空調服

汚れてかなり仕上がってますが、ハチ対策と同時に暑さ対策にもなるこの一品。

一度スイッチをオンにすればめちゃくちゃパンプアップしたかのようなふくらみを獲得できます。

ハチの針なんて絶対届きません

防護ズボン

防護ズボン

正面しか分厚くなっていないし、6ミリの厚さはないように思いますが…

けっこうダボっとしていて肌との間に隙間があるので、安心感はあります。

以下のデータを見てください。

ハチに刺された部位を見てみると、ほとんどが上半身に集中しています。

腕で払ったりするんでしょうね

下半身はそもそも刺されにくいということなので、その情報によって精神の安定を獲得することに成功しました。

革手袋(2重)

革手袋

下に軍手をはめ、その上に皮手袋をしています。

一度目に刺されたのが手の甲だったので、かなり警戒している部位。

革手袋は裏地に綿が入っているため、両方合わせるとかなりの分厚さになります。

めちゃくちゃ暑い(厚い)です

ヘルメット(網つき)

ヘルメット

普通のハスクバーナのヘルメットに、農作業用の黒い網を装着したもの。

これで首から上は安全です。

色は白もあったんですが、光の反射で見づらいことがあって…

かなり皮膚から距離があるので、足を狙うくらいならこっちを狙ってもらった方が安全だと開き直っています。

エピペン

エピペン

刺されたときのお守りです。

血圧を上げるアドレナリンが入ってます。

有効期限は1年しかないので、定期的に更新しないといけません

給水タンク

常に車に積んでいます。

刺された部分を洗い流すためですね。

川が無い山も少なくないので、これがあると安心感が違います

毒を吸い出すという方法がないわけでもないですが、最近は口の粘膜から毒が吸収されることなどを警戒して推奨はされていないようです。

ポイズンリムーバー

ポイズンリムーバー

こちらもお守りです。

刺された場所によっては「これ吸い出せてる?」みたいになることもありますが、念のため。

課題

私が思うに、2つの課題があると考えています。

エピペンの効果時間

エピペンは決して万能薬ではありません。

必ずハチに刺されたら救急車を呼ぶ必要があります。

そして意外と知られていないのですが、20分間だけ命を伸ばすことができるツールでしかありません。

ハチ毒だと15分で死亡することになるので、エピペンを使用しても刺されて35分で死に至ります。

山で刺された場合、現場から病院まで35分でつけるかというと…難しい。

エピペンは実は2本まで保険が適用されるので、重度のハチ毒アレルギーの方は事業体と相談してみてください。

私は2本いただけることになりました

山林の電波状況

刺されてすぐに救急車を呼びたいところですが、電波の繋がらない山林も少なくありません。

その場合は車で下山して、そこから電話…ということになりますよね。

アナフィラキシーショックは時間との戦いなので、そのロスが非常にもったいない。

例えばどこでも繋がる衛星電話を契約するなど、事業体として対策できるように思います

まとめ

以上、個人的な経験をまとめるとともに、対策や課題について言及してきました。

毎年20名くらいがハチ毒によるアナフィラキシーショックでなくなっていて、林業従事者に限った話ではないのですが、私が林業に従事しているので、その観点から記事にしています。

2023年7月にも、九州で林業に従事していた女性が亡くなっていますし…

ただ、林業とは関係のない方にも十分参考にしていただける記事になっていると思います。

参考にしていただければ大変ありがたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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