林業

【 緑の雇用 (FW3年目)体験談】安全な業務の推進と木材利用の実際

こんにちは、イチです。

今回は12月に行われた「緑の雇用(新規林業従事者の研修システム。3年間)」について記事にします。

今年はじめの記事だと11月予定になっていた研修。

県森連の都合で12月に移動していたのでした。

最後の緑の雇用、しっかり学んできました!

これまでの緑の雇用の記事でも書かせていただいた通り、林業事業者=FW(フォレストワーカー)と表現していきますのでご了承ください。

別に私がかっこつけてるわけじゃなくて、そういう呼称が行政レベルで行われているので…

研修(実技)の最中にスマホで写真を撮るのも難しく…基本は文章での記事になります!

この記事はこんな方にオススメ

緑の雇用ってどんな感じか知りたい

この記事はこんな人が書いています】
 ・2021年4月、京都で高校教員→岡山で林業(植林)

 ・Webライターとして記事複数
 ・森林インストラクター資格保有
 ・アレルギー多め(スギ・ヒノキ・ハチ)

FW3年目「 緑の雇用 スケジュール」一覧(2023年度)

7月11日(火) 資格・学科伐木等機械・簡易架線集材装置 特別教育
7月12日(水)資格・実技伐木等機械 特別教育
7月13日(木)資格・実技簡易架線集材装置 特別教育
8月7日(月)講義素材生産での労働災害
現場作業の総合力
8月8日(火)実習安全な掛かり木処理作業1
8月9日(水)実習安全な掛かり木処理作業2
9月5日(火)講義森林整備の省力化・低コスト化
9月6日(水)
講義・実習
路網の種類と目的
安全な路網開設・維持作業1
9月7日(木)実習安全な路網開設・維持作業2
9月8日(金)講義木材の特性
森林施業の体系
10月18日(水)実習効率的な高性能林業機械の使い方1
10月19日(木)実習効率的な高性能林業機械の使い方2
10月20日(金)実習効率的な高性能林業機械の使い方3
高性能林業機械操作の検証
12月4日(月)講義事業所経営の展望
安全な素材生産作業の確認
機械類の管理手法
12月5日(火)実習車両系機械のメンテナンス
12月6日(水)実習架線系機械のメンテナンス
12月7日(木)講義木材流通と木材利用

12月4日(月)座学 安全な素材生産作業の確認等

項目としては「事業所経営」「素材生産」「機械の管理」の3つでした。

素材生産とは、山の木を切り出して丸太にする作業全体を指します!

午前はDVDを見る時間。

見たDVDは、主には「造林」に関する内容でした。

項目としては関係が薄いですが、素材生産に関わる人間が多い我が同期たちのために、担当の方が用意してくださったものでした。

素材生産で使用している重機で地拵え(植林の準備)や資材の運搬なんかが推奨されているわけですから、素材生産の人間であっても造林の仕事を知っておけ、という意味合いだったのではないかと解釈しています。

造林に関わる人間ではありますが、学びになった部分が多かったです!

たとえば…

刈払機のポイント
・刈払機の燃料をわざと少なくいれて休憩を確保する(連続作業30分以内、5分以上の休憩)

獣害について
・対策の種類(以下のPDF参照。林野庁HP。https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/tyouju.html)

病虫害について
・スギカミキリ 5~20年生に発生。除伐、間伐、樹皮剥ぎが対策。
・スギノアカネトラカミキリ 10年生ごろから発生。枝打が対策。

造林はやはり地域にあった適地適木、成長に応じた施業、専門家からのアドバイスなどを大切にする必要がありますね

午後からは翌日の重機実習に向けて、取り扱いの注意事項やメンテナンスのチェックポイントを教えていただきました。

12月5日(火)、6日(水)実習 重機のメンテナンス

使用した重機は以下の2台です。

ザウルス
簡易架線

…と言いたいところなんですが、天候不順もありほとんど機械には触れず。

業者の方も天気が悪いプランを練ってこられていたようです

最近の重機と昔の重機の違いや、メンテナンスのチェックポイント、使用されているボルトについて、発生した故障事例について、など、多くの時間を座学で過ごしました。

業者の方が使用しているメンテナンスシートを使って一緒に機械を見たり、リース機の不備を見つけたりはしましたよ!

リース機でも不備があるんだな…と思いましたが。

ギアオイルを交換したり、実際に簡易架線の機械に乗ったりということもしました。

しかしメンテナンスは簡単なことでも自分たちでできると良いですね!

刈払機やチェーンソーですら、メンテナンスすると長く使えますから。

重機なんかだと死活問題。

もちろんプロを呼んだ方が効率的に直せる部分もあると思います。

そのあたりの見極めをするためにもメンテナンスの知識は必須ですね!

12月7日(木) 木材流通と木材利用

午前中は「林業労働安全対策の推進について」でした。

というのも、林業は非常に労働災害(死傷災害)の発生率が異常に高いんです。

年間どれだけの人数が被災するかという「年千人率(R3)」では、全産業だと2.7人であるのに対し林業は24.7

全体と比べると約10倍の労災遭遇率ですね…

それに伴い、労災保険料率も高額。

全産業が4.5に対し、林業は60。

なんとこちらは約13倍もの差があります。

この安全対策が林業の根幹にあると言っても過言ではありません。

そのため、新たな森林・林業基本計画(R3)では年千人率を10年後に半減させることが目標とされました。

もちろんじわじわ減ってきているんですが、林業従事者自体が長期的に減少傾向ですからね…

また新たに、「農林水産業・食品産業の現場の新たな安全作業対策に関する有識者会議(R2.2)」なんてのも行われたようです。

業種の垣根を越えて議論して、翌年「安全作業に関する規範」を策定(R3.2)したようですね。

いろいろ細かなところは省きますが、

「安全」こそ、何よりの収穫だ。

農林水産省のポスターにスローガンとして掲げられておりました。

なかなか自分では情報収集しにくい部分もあるので、研修で学べるのはありがたいです

あとは発生した労災事故の分析も多かったです。

年齢や経験年数、会社の規模、地域差、緊急連絡体制についてなどなど。

いずれにしても安全に心がけて仕事を進めていきたいところです。

午後イチからは木材市場の見学へ

これは競り落とされた木です。

競り落とされた木2

白のチョークの意味は教えていただきました!

分数になっていますが、分母は競り落とした方の番号、分子は木の値段です。

つまりこの木の集団は、「285番の方」が、「20千円(2万円)」で競り落としたということですね。

注意したいのは、この木1本で2万円というわけではないということです。

木は1㎥あたり〇〇円という値段の付き方です。

だから「木の集団」という言い方をしたんですね

一本だともっと安く、おそらく3mでも2000円前後じゃないでしょうか…。

競り落とされた丸太2

こちらも同様に判断できますね。

「278番さん」が、㎥あたり「20.5千円(20500円)」で競り落とした木の集団ということです。

研修棟に戻った後は、丸太の測定方法や、製材工場等需要者の求める品質・規格について教えていただきました。

こちらも普段の仕事ではまったく知らない部分だったので、学びになりました!

それにしても少し欠点があると製材所が受け付けてくれなかったり、値段が安くなったりと、かなり厳しい印象を受けました。

自然に生えているものを製品としてみるためにそうなるのもわかるんですが…。

特に柱を作る場合なんかは命を支えるわけですし、仕方ないとは思っています。

でも長年育てた木が些細な理由で安くなると、山の持ち主も林業業者も悲しい気持ちになってしまいますね…。

まとめ

以上、今年度最後の緑の雇用についてまとめました。

長かったようで短かった3年間でした…(卒業式的な)

実際スーツの研修生がいましたからね!笑

担当の職員も大笑いしていました…笑

「今まで見たことないです、こんな人」と言われていました。

本人はいたって大真面目でしたけど。

「卒業ならこれじゃ」と言ってました。

最後に、担当者の方にプレゼントをお渡ししました。

プレゼントを研修生からもらうのも初めてだったみたいで、けっこう驚かれていて。

なにはともあれ、3年間という一区切りが無事に迎えれられて良かったです。

林業は他産業の10倍以上事故が発生する職業ですから…

5年以降になると「FL(フォレストリーダー)研修」なんてのもありますが、基本的には日々の仕事の中で学びを深める必要があります。

書籍なんかも読みつつ、自分でモチベーションを維持して成長していきたい。

今はそんな風に考えています。

学びだけでなく、横の繋がりをもたらしてくれた緑の雇用に感謝です。

みなさんありがとうございました!

最後までお読みいただいたみなさんにも感謝します!

ちなみに前回までの緑の雇用に関する記事(2つ)はこちら。

よろしければご覧ください♪

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