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【林業新規就業者】緑の雇用って? 取れる資格や制度について解説!

2023年3月12日

こんにちは、イチです。

今回は「緑の雇用制度」について解説していきます。

改めて考えると良く分かっていないなーという部分があったので…。

自分の知識を整理することと、林業っていきなり仕事にしても大丈夫なのかな? という方の参考になれば!

主には「https://www.ringyou.net/」を参考にしつつ記述していきます。

じゃあそこ見ればいいじゃん!

という声が聞こえてきます…。

HP自体はおしゃれなんですが、少し情報が読み取りにくかったり、補足した方が良い部分があったりしたため、それを整理しようという感じです。

なお、これから林業を始めようとしている方に向けて書いていきますのでご了承ください。

また、令和4年度時点の情報です!

この記事はこんな方にオススメ。

緑の雇用がどんなものか知りたい

緑の雇用でどんな資格が取れるのか気になる

いやらしい話、いくらくらい助成があるのか教えて欲しい

緑の雇用はどんな人でも受けられるのか知りたい

この記事はこんな人が書いています】
 ・2021年4月、京都で高校教員→岡山で林業(植林)

 ・Webライターとして記事複数
 ・森林インストラクター資格保有
 ・アレルギー多め(スギ・ヒノキ・ハチ)

緑の雇用制度とは

今年(2023年)で20年目を迎える比較的若い制度で、目的は以下の2つです。

1.新規就業者の確保対策
 ・就業ガイダンスの実施、就業時のマッチング支援、トライアル雇用の実施
2.新規就業者等の育成対策
 ・ 林業作業士(フォレストワーカー)研修、 多技能化研修

人材の確保と、確保した人材の研修をバックアップする制度であることがわかります。

実際、緑の雇用制度が始まった平成15年以降、毎年2000人程度だった新規従事者が3000人程度に増加。

年齢の若返り傾向も持続している、とのこと。

3年経過後の定着率は7割で、他産業と比べても高めです。

そして特に林業は危険な職業ですから、新規就業者を増やすだけではなく、安全のための研修が必須です。

千人率という、千人のうち何人が労働災害に遭遇するかというデータでは、林業はぶっちぎりで1位。

だいたい他産業の10~15倍です。

「ケガして覚えろ!」「背中を見て学べ!」みたいなのは絶対ダメな業種です(マジで)。

ただ、新人の教育にはお金と時間がかかりますよね。

小さな会社だったりするとこの新人の教育・研修にかける時間もお金もない。

このあたりを補ってくれるのは大変ありがたいところです。

人を雇い、時間とお金をかけて育てたにも関わらず、すぐ辞められてしまう…となっても辛いですし。

ただこの制度のせいで、質問しても「緑の雇用で教えてもらえるから。そこで教えてもらって。」という返事を度々聞いてきました…

事業体の指導体制が整っていなくても人を雇えるというのは長所なんですが、いつまでも指導体制が整わない弊害があるように思われます。

そして緑の雇用制度には二つの団体が関わっています。

全国森林組合連合会…実施主体
林野庁…金銭的な補助

林野庁は国の組織なので特に説明は不要かと。

全国森林組合連合会は、昭和27(1952)年に発足した組織です。

各地にある「森林組合」を束ねる「都道府県の森林組合連合会」の全国組織ですね。

前身組織もあったようですが、ここでは説明を省きます。

HPの組織概要ではこんな感じでした。

正会員47〈道府県森林組合連合会・東京都森林組合・大阪府森林組合〉
准会員1 〈組合林業株式会社〉

なんで東京と大阪の森林組合だけ分かれてるの? 組合林業株式会社って?

と、詳しく調べてみると細かなところで分からないことが。

都道府県森林組合連合会一覧を見ても、大阪と東京だけ「森林組合」との記載です。

両者とも元々は森林組合連合会があったのですが、森林組合の合併で東京も大阪も森林組合が1つしかなくなったのです。

そのため森林組合連合会を包括承継し、現在の「道府県森林組合連合会・東京都森林組合・大阪府森林組合」という表記になったようですね。

組合林業株式会社は「子会社」です。

いろいろな販売などを行っているのでしょう。

住所が全国森林連合組合と同じなので…。

全国森林連合組合といえば【J Forest】というロゴが有名なのですが、これは平成21(2009)年に制定されたものです。

画像は著作権等の関係か貼り付けることができませんでした…。

ちなみに令和4年度の「緑の雇用制度」の予算は約40億円が計上されています。

平成15年の開始時は95億円が計上されており、全体的にはじわじわと減少傾向にありますね。

ただ特に人数的に大きく減少したということはないので、補助金が減額されていたり対象がしぼられてきたのではないでしょうか。

制度の詳細

緑の雇用制度の研修内容

トライアル雇用
 …林業就業希望者が、仕事や職場に合っているか試す3ヶ月間の就業。(本格就業前)
林業作業士(フォレストワーカー)研修

 …新しく林業の仕事を始めた方対象。
現場管理責任者(フォレストリーダー)研修

 …作業班長候補者など経験を積み職務力がついてきた方対象。
統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修

 …複数班の統括など現場全体の管理責任能力を身につけたい方対象。

それぞれ以下のような感じです。

集合研修実地研修
トライアル雇用なし3ヶ月(上限60日)
フォレストワーカー(FW)1年目28日程度最大8ヶ月(上限140日)
FW2年目29日程度同上
FW3年目21日程度同上
フォレストリーダー16日程度なし
フォレストマネージャー10日程度なし

私が参加したのはFW1年目、FW2年目の研修です。令和5年度はFW3年目の研修に参加予定です。

そして研修内容として「集合研修」と「実地研修(OJT)」があります。

集合研修は、同じタイミングで緑の雇用制度に参加した人たちと研修を行います。

県内にいる同期が全員集合します。

同期たちと研修を行うので、数人ずつ数が減ります。

最初は20名以上いたんですが、今では18名くらいに…。

資格取得等はこの集合研修で行われます。

トライアル雇用に集合研修がないのもよくわかりますね。

資格取得等は入社してから! ということのようです。

実地研修は、日々の業務の後に「一言感想」みたいなのを書きます。

それを毎週班長に提出し、6月~翌年の1月まで(8ヶ月間)続きます。

その2種類が研修の内容です。

緑の雇用制度で取れる資格等

FW1年目・普通救命講習
・刈払機取扱作業者
・チェーンソー伐倒等業務
・玉掛け技能
 …クレーンのフックに荷をつけたり外したりする資格
・小型移動式クレーン運転業務
 …あくまで操作の資格。
FW2年目・不整地運搬車運転業務
 …悪い地盤で荷物を運搬する車両の運転資格
・はい作業従事者
 …倉庫などに荷物を積んだり、崩したりする資格
・機械集材装置の運転業務
 …機械を用いて木材等を集める資格。木材等は空中を通る。
・車両系建設機械運転業務
 …いわゆるショベルカーの運転資格。
・走行集材機械の運転業務
 …自走して木材を集める機械の運転資格。
FW3年目・簡易架線集材装置の運転業務
 …集材機械(FW2)の代わりに使用できる車両の運転資格。
・伐木等機械の運転業務
 …木をつかんだり切ったりする機械の運転資格。
フォレストリーダー・造林作業の作業指揮者
・はい作業主任者
・地山掘削及び土止め支保工作業主任者
フォレストマネージャー・安全衛生推進者養成講習

けっこういろいろな資格が取れますよね!

もちろんお金を従業員が支払う必要はありません!

合計したことはありませんが、結構な金額になるはずです。

助成金額

こちらをご覧ください。

林野庁PDF「主な助成の内容及び申請の流れ」https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/koyou/attach/pdf/03-45.pdf

金額が書いていませんが、これは費用が変わることがあるため、ではないでしょうか

見ていただけるとかなり幅広く、安全のための防護ズボンを購入する予算や、住宅手当などの予算がついています。

項目に記載がありませんが、手持ちのパンフレット(令和3年度版)では、フォレストリーダーとフォレストマネージャーの助成項目として「日当」「宿泊費」「交通費」が記載されています。

私に直接関係があったのは、1年目の「資材費」と「安全向上対策費」2年目の「安全向上対策費」、それと「雇用促進支援費(家賃補助)」です。

直接関係があるという言い方をしたのは、私が購入する物品を選べたり、事業体から給付していただけたりしたもの、という意味です。

直接お金がいただけるわけではありません(当たり前)

私が購入したのは以下の通りです。

すでにぼろぼろになってしまったものも多いので、写真があったものは写真代わりに載せておきます。

買っていただけたので高いものが多いですね

【1年目】

・ハスクバーナ ヘルメット

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・モンベル ロガーパック

・カッパ2着

・チェーンソー用防護ズボン2着

【2年目】

・チェーンソー用ブーツ

・カッパ1着

・スパイク付き長靴

細かなところが間違っているかもしれませんが、おおよそこんな感じです。

道具についてはまた記事を作っても良いかなと思っています。

研修生になれる条件

ひとまずフォレストワーカー1年目の条件を見てみましょう。

①労働条件を明確にした雇用契約により採用されるもの
②研修終了後、5年以上就業できる年齢であるもの
③林業就業に必要な健康状態のもの
④林業就業経験:通算2年未満
⑤当該年度を通じた就業を予定しているもの
⑥林業就業に対する意識が明確なもの
⑦その他

よく見てみるとけっこうちゃんとしてる(失礼)

フォレストワーカー2年目、3年目になると、

「フォレストワーカー研修(1年目)修了後、○年を経過していないもの」という条件が追加されます。

これらに該当していなければ緑の雇用制度を利用できません。

その他

緑の雇用制度を利用できなければどうなるの?

問題なく林業事業体で採用されることはできるでしょう。

ただ、事業体は助成を受けることができませんし、研修生は研修に参加できないということになります。

業務に必要な資格等は事業体が取らせてくれるでしょうから、特に問題はないと思われます。

個人的には集合研修に行けないことが寂しいですかね…

林業の事業体って小さいことが多いですし、つながりがあんまり持てないんですよね。

集合研修に行けば同時期に採用された方々と交流できるので、情報交流という面でもありがたいです。

緑の雇用制度って条件を満たせば絶対利用できるの?

これが難しいところで、できない場合もあると思います…

政府の行っている事業ですから、基本的には年度で区切られます。

10月採用とかそういう場合だと中途半端でいけないですよね。

来年の4月から! と意気込んでいても、事業体の判断で「研修不要(力がついている)」となれば行けませんし。

あとはやや年齢が高い方で、緑の雇用制度を利用しない方向だったにも関わらず、かなり参加人数が少なかったために研修に行けた方も知っています。

可能であれば面接のときなどに聞いてみても良いかもしれません。

緑の雇用制度を活用した感想は?

めちゃくちゃありがたかったです…!

・同時期に採用された方々と交流できる

・備品の支給

・家賃補助

など、普通に採用されただけでは無かったはずなので…。

特に道具の問題があって、多くの林業事業体が「実費」にしていると思います。

うちはチェーンソーの防護ズボン、燃料カバン、植え付け(植林)に使うクワ、苗袋、そういったものは支給ですが、それ以外のものは実費です。

チェーンソーや刈払機といった機械が実費であることも少なくないはずです。

燃料代は支給します、って感じですかね。

その他機械については「貸与」というパターンもあり得ます。

こちらも面接で聞いておいても良いと思います。

まとめ

以上、「緑の雇用制度」についてまとめました。

制度にただ乗りしているだけで知らない部分が多かったので、自分の勉強にもなりました。

助成金額の部分は伏せていますが、もし質問があればコメント欄でお教えください!

なんとなく記事部分に書くことを避けているだけなので…笑

これから林業に従事したい! という方のお力になれれば幸いです。

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