こんにちは、イチです。
今日は少しマニアック。
「補植」という仕事の話をします!
林業をする前には全く知らなかった仕事内容の一つですね…
関係が深いのは「植林」(植え付け、植栽)なので、よろしければ下の記事をご一読ください。
補植って?
林業のサイクルを説明したことがあったと思いますが、それをもう一度ご覧ください。
植林(植え付け、植栽)
→下刈、除伐、間伐(育てる)
→皆伐(伐採)
→地拵え(植林準備)
→植林…
ん? 「補植」ないですよ?
林野庁のパンフレットにも記載はありません。
最も知名度が低い「地拵え(じごしらえ)」よりもマニアックでしょう。
タイミング的には「植林」と「下刈」の間…だと思っていただくと正しいように思います。
漢字でも伝わると思いますが、「植える」作業ではあるので。
目的
枯れた苗を植え替えることが「補植」の目的です。
植林をしてからしばらくして苗が元気に育ってくれれば良いのですが、様々な事情で枯れてしまうことがあります。
下の写真を見てください。
2枚目は先端だけ枯れたしまったものです。
無残に枯れてしまってますね…
植えてもこんな風になってしまうことがあるのです。
枯れても地面に立ってますからね、この子たち。
普通はこんな感じでもりもり成長してくれますから、植えた側としては相当つらい。
ただこういった状態で放置してても仕方ないですから、新しい苗を植えないといけないのです。
枯れる理由は様々考えられます。
例えば、
・天候不順
・土壌の環境
・他の植物との競争に負けた
・苗自体の体力不足
・ウサギやシカなどの動物にやられた
などです。
ウサギやシカにやられた苗を見ていただきましょう。
中央部分がなくなっています。
このまま成長しても二股の木になってしまい、材としての価値が低い成木になるんです。
しかし苗が枯れたところに新しい苗を植えるなんて抵抗ありますよね…。
強制的に事故物件に住まわせるような感じがするじゃないですか
YouTuberだったら【恐怖】事故物件に住んでみたって感じで再生数を稼げるんでしょうが、まさか苗は動画投稿できませんし。
とにかく、複雑な気持ちで苗を植えかえる作業が補植です。
枯れた苗はその場に置いておくか、枯れた苗はそのままにしてすぐ隣に新しい苗を植えます。
保険があるらしく、その証拠になるんですよね。
ただ我々の技術不足だったり、病虫獣害、地震などによって枯れたりした場合は対象外ですけれど。
山主としてはお金を払って植えた苗ですから、保険がきくならありがたいですよね。
時期
山主さんから要請があればいつでもという感じではありますが、植林に準じることが多いかと思います。
春に植える春植、秋に植える秋植のどちらかでしょうか
植えたものがすぐ枯れるのは精神衛生上よくないですね…。
道具
こちらも植林と同様です。
主なものとしてはクワと苗袋。
その他の装備としては基本的なものです。
地下足袋や、防寒対策としてのヤッケなどですかね。
そういった基本装備も記事にする予定です!
方法
こちらも植林と同じです。
苗とクワを持って山のなかに入り、枯れた苗を発見次第植え替えます。
植林では等高線上に苗を植えるので、補植も等高線上に歩いて苗を確認していきます。
しかし今回の現場はなかなか難しいところでした。
続く写真を見てもらえればわかると思うのですが、この現場には下刈が入っていないんです。
つまり雑草やらが生え放題ということ。
ここから枯れた苗を探すのが一苦労で…。
等高線上にもきれいに植えられていませんでしたし、植えられていても他の植物が邪魔でなんともしがたく。
なかなか見つからないですから、歩く苗袋になったようなもんです
植えてるより斜面眺めてる時間の方が長いですからね。
植えた本数自体はそこまで多くなかったのですが、なんか妙に疲れた現場でした。
まとめ
以上、林業における「補植」についてまとめました。
一般的ではない作業ではありますが、確実に林業を下支えする作業かと思います。
しかし贅沢な作業ですよね…
この作業で人間が5人くらい1日拘束されてましたから
1人2万円だとしても10万円。
保険や補助金などを使用すれば良いのでしょうが、よっぽど枯れない限りは実施する必要がないと思われます。
今後も林業に従事しているからこそ書ける記事を書いていく予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました!