林業

【解説】林業(造林)の「地拵え」とは。目的、時期、道具、方法をご紹介!

2023年3月25日

こんにちは、イチです。

今日は林業(造林)における「地拵え」という仕事について解説していきます。

読み方は「じごしらえ」です。

林業に従事するまで知りませんでした

この記事はこんな人が書いています】
 ・2021年4月、京都で高校教員→岡山で林業(植林)

 ・Webライターとして記事複数
 ・森林インストラクター資格保有
 ・アレルギー多め(スギ・ヒノキ・ハチ)

地拵えって?

詳しく林業のサイクルを説明すると、

植林(植え付け、植栽)

→下刈、除伐、間伐(育てる)

→皆伐(伐採)

→地拵え(植林準備)

→植林…

という感じになります。

今回説明する「地拵え」は、「植林」をするための準備です。

言い換えれば、皆伐(伐採)の後片付けでもあります

ただ、地域によって、あるいは事業体によって、かなり違いが出てくると思います。

今回ご紹介できるのは私の事業体に関することなので、そのあたりをご了承ください。

林業は循環産業と呼ばれています。

それは、伐って使い、植えて、育てて、再び伐って使うというサイクルになるためです。

林業に初めて就業する人間は「緑の雇用」という研修に(基本的には)参加できるのですが、そちらでは「木材は人類が再生可能な唯一の資源」なんて呼ばれていました。

興味のある方はこちらをご覧ください!

目的

前述したとおり、「植林」しやすい山を作っていくことに目的があります。

次の写真を見てください。

写真の左側に植物がたくさん生えています。

一方、右側には植物がなく、地面が露出しています。

さらに何か植物でできた列がありますね。

この「植物や倒木を除去」→「列に並べて整理」というのが地拵えになるわけです。

つまり写真の右側は地拵え「済」ということですね(この写真後、さらに整理してまっすぐにしました)。

ここで注意ですが、その列は「等高線」で並べることが重要です。

こうすると苗を植えやすいのと、今後の仕事が楽になります!

本来は皆伐した直後の山で行うため、こんなに植物は生えていませんが…。

手元で比較した写真がなかったので、こちらをご用意した次第です。

実際は地拵えにも複数の方法があったり、補助金の兼ね合いで小難しいことがあったりするんですが、ここでは省略させていただきます!

時期

年間で特に決まった時期はありません。

強いていうなら積雪があるタイミングはできない、という感じでしょうか。

大きな木をどけても、細かなものが残っていたり、刈払機を使っても妙な高さの木が残ったりするからです。

植林の前にするんじゃないの? という感じですが、直前にしなくても大丈夫ということですね。

ただ、あまり長い間放っておくと再び植物が生えてきてややこしいことになりますが…笑

道具

人が行うのか、重機で行うのかで大きく異なります。

ここでは「人が行う」場合の道具についてご説明します。

私が人力で行っているためです

また、地域によっても異なる可能性が高いです…。

写真代わりに私が使っている道具のリンクを貼っておきます。

【刈払機】

山林用の頑丈なやつ+排気量26ccとパワーのあるものです。

山にある木々を切って整理しようと思うと、これくらいのものがあった方が良いですね。

まあ普段使いで考えるとオーバースペックだと思いますが…

動力は当然「エンジン式」です。

バッテリーなんかだと仕事中に充電が切れてただのお荷物確定です…。

【チェーンソー】

こちらも当然「エンジン式」のチェーンソー。

排気量は43.1です。

間伐なんかでも使用しています。

倒れている木を整理するだけなので、もう一回り小さいチェーンソーを使用している人もいます。

この辺りは好みになってくるかなと…。

【鎌】

長鎌

切った木にひっかけて動かしたり、残った小さなものを切ったりします。

柄がめちゃくちゃ長く、小さな刃がついています。

普通の鎌の柄をめちゃくちゃ伸ばした感じ。

妻に話すと

冷凍マグロを運ぶ感じだね!

と言ってました。

そのイメージで間違いありません!笑

【ナタ】

このナタを使用して、杭を作ります。

切った木を等高線に並べていくわけですが、普通に考えたら斜面をズルズルと落ちていってしまいますよね。

それを防ぐために、切った木の先をとがらせて、地面に突き刺すわけです。

その杭をつくるためにナタを使用します。

方法

これも事業体や地域によって様々かと思いますので、私がいる事業体の場合を。

①チェーンソーで倒木を処理します。運べるサイズに小さくし、そのあとは運んで等高線に並べます。

②刈払機で小さな木などを刈っていきます。このとき、等高線上にある木はやや高さを残して切ることもあります。これも杭として活用します。この杭を「生き杭」と呼びます。

③ナタで木の先をとがらせて地面に突き刺し、杭にします。

④生き杭、もしくは杭に、チェーンソーで切った木や、刈払機で刈った木をひっかけます。その杭のおかげで列が斜面の下に落ちることがありません。場所が良ければ残されている切り株を杭の代わりにすることがあります。

⑤列を作っていきますが、できるだけ細めになるようにします。細い列だと、苗を植える面積が増えるからです。だから、幅広い列になった場合は棒などを地面の間につっこんで、てこを利用して幅を細く(列が高くなるように)します。

⑥切り株等が高く残っていて植林しにくそうな場合は、再びチェーンソーや刈払機で処理します。

まとめ

以上、地拵えについて書いてきました。

全く画にならない作業であり、なおかつ体力的には大変な仕事です。

そもそも林業に従事している人以外には知られていないでしょう。

ですが非常に重要な仕事です。

この地拵えをしておくことで、今後の植林などの仕事がしやすくなります。

林業は植林から50年近くかかる仕事です。

その50年の基礎をつくる仕事だといえます。

皆さんの参考になれば幸いです!

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