林業

【解説】林業(造林)の「除伐」とは。目的、時期、道具、方法をご紹介!

2023年12月2日

こんにちは、イチです。

今回は林業(造林)における「除伐」について記事にしました。

下刈と作業内容は似ています。というかほぼ一緒です

以下で詳述していきます!

この記事はこんな方にオススメ

林業の仕事にどんなものがあるか知りたい

木でも切れる草刈り機の刃をつくりたい

【この記事はこんな人が書いています】
 ・2021年4月、京都で高校教員→岡山で林業(植林)
 ・Webライターとして記事複数
 ・森林インストラクター資格保有
 ・アレルギー多め(スギ・ヒノキ・ハチ)

除伐って?

林業記事で決まって書いている、林業のサイクルをもう一度確認しておきます。

植林(植え付け、植栽)

→下刈、除伐、間伐(育てる)

→皆伐(伐採)

→地拵え(植林準備)

→植林…

上のサイクルでは「下刈」と「間伐」の間の作業であることが分かります。

こちらも林業に従事してから知った作業です。林業は意外に知らない作業が多かった…

目的

目的は下刈とほぼ同じで、「木の生育の邪魔になるものを刈ること」です。

じゃあなんで作業の名前が違うの?

下刈は苗木を植えてからだいたい5年の間に行います。

除伐は苗木を植えてから10年以上経ってから行うんですね。

え? 下刈が終わったら相当大きくなるんでしょ? 何を刈るの?

確かに雑草には負けません。

植えたときとは全然違う大きさにまで成長しているので。

負ける可能性があるのはクリやコナラといった広葉樹。

そういった広葉樹を刈り払うんですね。

そのほか、痛みが激しいスギ・ヒノキを刈ることも同時に行うこともあります。

めちゃくちゃ曲がっている、先が折れている、成長が著しく劣っている…などですね

時期

下刈は基本的に夏に行いますが、除伐を行う時期は特にありません。

働いた感想でいうと、他の業務が忙しくないタイミングでやっているイメージでしょうか

私の事業体だと

・春…植林(植え付け、植栽)
・夏…下刈
・秋…地拵え、植林
・冬…間伐

というメインの動きがあります。

その隙間に行う感じですね。

下刈と違って除伐は、夏に行っても周囲の木が大きいことが多いので、直射日光による暑さはあまりありません。

雨も木で遮られることが多いため、天候による不都合が少ないなーという印象です。

道具

下刈と同じですね。

以下で箇条書きにしておきますが、念のためリンクを貼っておきます!

【道具一覧】

・ヘルメット

・ゴーグル

・耳栓

・刈払機(+笹刈刃)

・防振手袋

・地下足袋

・腰袋(燃料ボトル、ヤスリ、ポイズンリムーバー、ハサミ、アサリ割り器、プラグ回し、ハチジェット)

こんなに下刈と一緒なら、この「道具」の項目意味あるんか⁉

違いがあるとすれば「刈刃」でしょうね。

下刈の場合は刃を尖らせさえすれば何とかなるケースが多いですが、広葉樹などの雑木を伐る場合はそれだけでは不十分です。

しっかりと「アサリ割り器」を使って「刃分け」をする必要があります。

こんな感じ。

刃分けをした刃2

こういう風に刃を左右に分けることで、太めの木を伐りやすくなります。

分かりやすくするためかなり大きく刃分けしてますが…

ちなみに刃分けをしないとこんな感じ。

刃分けをしていない刃

刃が一直線ですね。

刃分けをすることで、

刃先の幅の広がり>笹刈刃の厚み

という状態にできます。

つまり刃分けをすることで、切り進んでも摩擦が発生しないようになるわけです。

仮に刃分けをしなかった場合、摩擦が大きくり進めなくなってしまうんです。

木ってけっこう挟んでくる

もちろんチェーンソーの刃も同じように刃分けされています。

こんな感じ。

チェーンソーの刃

若干刃が左右にはみ出していますね。

こうすることで摩擦なくスムーズに切り進めるのです。

下刈との大きな違いは、この刃分けの重要性です。

もしよければ笹刈刃について記事を書いていますのでご覧ください!

方法

下刈と違って苗が小さくて見落とす、なんてことはありません。

しかし等高線を意識して刈り進めることが重要です。

身体的な負担を軽減するためですね

そして適宜、育成木であっても下の方の枝は刈り落とします。

あまり大きくなっていない場合はその限りではないですが、そうしないと歩くことすらできないこともあるので…

また、下刈の際は「誤伐」といって、間違って苗を刈り飛ばすケースがありますが、除伐の場合はありません

ありませんが、立っている木に刈払機の刃が「ガッ!」っと突っ込んでしまうことがあります。

木が太いので刈り飛ばすことはありませんが、木にダメージが入ってしまいます

製材したときにシミが入るそうです(製材所の方が言っていました)。

刃が刺さったところだけで済むのではなく、じわーっと1m分くらい上にシミができる、とのこと。

そうすると木材の価値が大きく低下するんですよね

強度的には問題ないんですが、見た目がアレということで。

そのため除伐の場合であっても「誤伐しないから大丈夫だぜ」と高を括ることはせず、注意を払って刈り進めることが大切です。

刈り払った広葉樹たちは地面に寝そべっていくことになるわけですが、今後の作業のしやすさを考え、さらに短く刻んでおくと良いでしょう。

分解も進みますし、林内が歩きやすくなりますからね。

さらに、できるだけ木を低く刈る方が良いです。

下刈の場合は草が基本なので、踏みつけて移動することができますが、除伐の場合はそうはいきません。

石が転がっていたり段差があったりしますが、できるだけ低く刈り払わないと歩きづらいんですよね。

今後の仕事を考えたときの苦労を少しでも減らすため、低めに刈ることを心がけています!

まとめ

以上、除伐についてまとめました。

下刈と同様、林内がすっきりするので非常に達成感がある仕事です。

ですが下刈とは違う部分も複数…。

単純に、

けっこう太い木があったりして、薪として持って帰りたい…‼‼

という気持ちがむくむくと首をもたげてきます笑

もちろん山主さんの山なので、持って帰るようなことはしませんが…

そして刃の切れ味が重要になってくるので、自分自身の刃を見る力というか、刃の切れ味を保つ力というか、そういう力が育っていく仕事のように感じています。

切れ味を良くしておかないと、何度も刈払機を振ることになったり、長時間エンジンをふかしっぱなしにしたりすることになるので、身体的にも刈払機的にも負担が多い仕事になってしまいます

頻繁に入ってくる仕事ではないのですが、貴重な機会を捕まえて刃を鍛える力を付けていきたいと思うところです。

同じように刈払機を使うよね、と単純に考えることはしたくない仕事です

最後までお読みいただきありがとうございました!

-林業
-, , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,